先日、ステンレスは難削材のひとつであるという記事を書きました。
その理由としてステンレスは
・熱伝導率が低いため、切削加工時に発生する高熱が逃げにくい、
・加工硬化性がある
という話をしました。
今日は、ステンレスについて「工具との親和性が高い」という特性から見た、ステンレスの削りにくさについて書いていきます。
まず「工具との親和性が高い」とはどういうことでしょうか?
要するに「くっつきやすい」ということですが、
切削加工においてもう少し具体的に言うと、「切削くずが工具に溶着しやすい」ということです。
また、切削くずが工具に溶着した後、工具は加工を続けているため、切削くずはすぐに取れてしまうのですが
このときに、やはり切削くずと工具の親和性が高いため、材料は工具の一部分をはがしながら脱落していくことがあります。
これを「チッピング」といいます。
中には、切削くずが工具からすぐには取れず、工具に溶着したまま工具(刃物)の一部となって材料を削ることもあります。
こうなると、材料を削るのは本来の刃物ではなく「余計な出っ張り」ということになり、
加工精度も落ちてしまいます。
したがって「いかに材料(ステンレス)と工具の溶着を抑えるか」が品質の面でも、コストの面でも
ステンレス加工のポイントのひとつとなります。
では、どのようにして溶着を抑えるのか。
まずは刃物選びです。
刃物の素材だけでなく、切削くずを溶着させずにスムーズに逃がしてやることのできる形状が大事です。
次に切削油選び。
ステンレスに限らず、切削加工において切削油を使う理由として
「冷却機能」「潤滑機能」「抗癒着機能」「切削くず排除機能」の4つの機能を目的として使います。
切削油選びは材料だけでなく加工方法によっても変わってきますが「ステンレスの工具との親和性の高さ」の観点からは抗癒着機能が重要ということになります。
ただし、前述のようにステンレスは高熱が逃げにくいので冷却機能も重要ではあるのですが・・・。
また、今後もステンレスや切削加工について書いていきたいと思います。
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