熊倉製作所が切削加工を行う素材として「ロストワックス」があります。
素材と言っても鉄のロストワックス、ステンレスのロストワックスなど様々な金属があり、正確には素材というよりも製法です。
「ロストワックス精密鋳造」とも呼ばれますが、その名が表すとおり鋳造の一種です。
一般的に鋳造とは「型に溶かした金属を流し込んで」成形する手法です。
このロストワックスも同じように型に溶かした金属を流し込むわけですが、一般的な鋳造とは型の作り方が異なります。
以下に図を使って、大雑把なロストワックスの工程を説明します。
ロストワックスの工程
実際にはもっと多くの工程があり、さらには「ロウ原型をつくるための型」(最終的な製品から見ると「型の型の型」ということになります)を作ることが多いのですが、ここでは説明しません。
「ロウを溶かして取り除く」という工程がありますが、この工程「ロウ(ワックス)を取り除く(ロスト)」がロストワックスの語源となっています。
しかし、最後の「型を壊して材料を取り出す」がロストワックスの最も大きなポイントです。
一般的な鋳造では、型は再利用するため「壊さずに」取り出します。
型を壊して取り出すと何がいいのか?
それは「成形できる形状の自由度が段違いに高い」という点にあります。
型を再利用するために壊さずにはずすということは、型をすんなりと抜けるよう製造するモノの形状を工夫する必要があります。
とは言っても当然ながら型の都合よりモノとしての必要な形状が優先されるため、鋳造で造りきれない部分は切削加工などで二次加工を施します。
ロストワックスも100%どんな形状でも対応できるわけではありませんが「型から抜く」ということを考慮する必要がないため、一般的な鋳造と比べると格段に複雑な形状に対応することができ、二次加工の量も少なくて済みます。
熊倉製作所が加工しているロストワックス製品(ステンレス SCS13)
このように、ロストワックス精密鋳造の「精密」は型の外し方によるところが大きいわけです。
先ほど、ロストワックスは名前が表すとおり「型の作り方が異なる」と書きましたが、このように本質的には「型からの取り出し方が異なる」と言った方がいいかもしれませんね。
熊倉製作所ではロストワックス製法などによる異形状の部品を自社考案の冶具製作により短納期、高能率加工も得意としています。
お困りの際はぜひご相談ください。
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