前回はメッキの材料、方式について書きましたが、今回はもう少し詳しく見ていきましょう。
メッキ処理にはJIS規格で定められた記号があります。
この記号の意味を知ると、何がメッキ処理の特徴となりうるのかがわかります。
今回は記号の意味を切り口に、特にクロムを例に説明していきます。
アルファベット、数字が、ハイフン、スラッシュ、カンマ、コロンでつながっていますが、7つの意味があります。
①:メッキの種類を表します
| 記号 | 内容 |
|---|---|
| Ep | 電気メッキ |
| ELp | 無電解メッキ |
どのような方式でメッキを行うかということであり、これについては前回の記事をご参照ください
②:素地の種類を表します
| 記号 | 内容 |
|---|---|
| Fe | 鉄および鉄合金 |
| Cu | 銅および銅合金 |
| Zn | 亜鉛および亜鉛合金 |
| Al | アルミニウムおよびアルミニウム合金 |
| Mg | マグネシウムおよびマグネシウム合金 |
| PL | プラスチック |
| CE | セラミック |
金属の場合は元素記号が使われ、合金の場合はメインとなる金属の元素記号を使います
③:メッキする素材を表します
多層メッキの場合は、素地に近い方からカンマで区切って記述します。
| 記号 | 内容 |
|---|---|
| Ni | ニッケル |
| Cr | クロム |
| ICr | 工業用クロムメッキ |
| Cu | 銅 |
| Zn | 亜鉛 |
| Au | 金 |
| E-Au | 工業用金メッキ |
| D-Au | 装飾用金メッキ |
基本的に素地についてと同じですが、工業用クロムメッキ、装飾用金メッキなどは固有の記号が使われます。
工業用クロムメッキは硬質クロムメッキ、ハードクロムメッキとも呼ばれ、装飾用クロムメッキと対をなします。
「工業用」「装飾用」は簡単に書くと以下のような違いがあります。
工業用メッキ : 耐摩耗性を目的とするため、強固かつ均一に素地と接着
装飾用メッキ : その名のとおり、装飾性が目的であるため、光沢が重視される
工業用メッキは丈夫なのですが、耐食性は装飾用メッキの方が高いです。
また、クロムと言っても、以前は「6価クロム」が工業用クロムのメインでしたが有害物質のため、今ではもともと装飾用に使われていた「3価クロム」がメインとなってきています。
④:メッキの厚さ(μm)を表します
0.5であれば最低0.5μmとなります。
耐摩耗性を目的としたメッキは厚くなります。
⑤:メッキのタイプを表します
以下のような種類があります。
| 記号 | 内容 |
|---|---|
| b | 光沢メッキ |
| s | 半光沢メッキ |
| v | ビロード状メッキ |
| n | 非平滑メッキ |
| m | 無光沢メッキ |
| cp | 複合メッキ |
| bk | 黒色メッキ |
| d | 二層メッキ |
| t | 三層メッキ |
| r | 普通メッキ |
| mp | マイクロポーラスメッキ |
| mc | マイクロクラックメッキ |
| cf | クラックフリーメッキ |
そのうちクロムに関するマイクロポーラスメッキ以降について見ますと
マイクロポーラスめっきは、表面に小さな孔があいている状態
マイクロクラックは、表面に小さなひび割れ(クラック)が均等にできている状態
逆にクラックが少ないものがクラックフリーです。
クラックが少ないということは、素地がしっかりと覆われているため、耐食性が高くなります。
マイクロポーラス、マイクロクラックは孔あるいはクラックがあることにより油膜を形成しやすいため、潤滑性が高いということになります。
⑥:メッキの後処理を表します
無ければ省略します。
| 記号 | 内容 |
|---|---|
| HB | 水素除去のベーキング |
| DH | 拡散熱処理 |
| CM1 | 光沢クロメート処理 |
| CM2 | 有色クロメート処理 |
| Zn | 亜鉛 |
| PA | 塗装 |
| CL | 着色 |
| AT | 変色防止処理 |
クロメート処理とは、クロム塩酸により表面に酸化被膜をつくる処理であり、耐食性を高めます。
光沢クロメート処理(ユニクロ)と有色クロメート処理は薬剤の違いによるものです。
出来上がりは光沢クロメートは青みがかった銀色で美しいのですが、有色クロメートに比べると耐食性は低いです。
有色クロメートは金色ですが、さらに耐食性の高い黒色クロメート、緑色クロメートもあります。
⑦:使用環境を表します
| 記号 | 内容 |
|---|---|
| A | 腐食性の強い屋外 |
| B | 通常の屋外 |
| C | 湿気の強い屋内 |
| D | 通常の屋内 |
いかがでしたでしょうか?
今後も金属の加工、処理について書いていきます。

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